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  1. ドイツ木製おもちゃ(知育玩具)にみるヨーロッパの教育思想。~木製玩具メーカーがたくさん生まれたドイツで、所長が感じた「子供のおもちゃ遊び」の日本との差異~

ドイツ木製おもちゃ(知育玩具)にみるヨーロッパの教育思想。~木製玩具メーカーがたくさん生まれたドイツで、所長が感じた「子供のおもちゃ遊び」の日本との差異~

ハペブログ

ハペは、子どもと育ち総合研究所の所長宮野さんに、寄稿頂いています。 

第3回は、”ドイツ木製おもちゃ(知育玩具)にみる、子供へのヨーロッパの教育思想”です。

宮野 亮(みやの あきら)

一般社団法人 子どもと育ち総合研究所 代表理事 所長

※第2回の記事はこちら!
所長に聞く、”赤ちゃんへの、初めてのクリスマスプレゼントの選び方” ~大人も一緒に楽しめる、0歳・1歳の子供におすすめのおもちゃとは?~

 

毎年1月末(あるいは2月初め)、世界で最も規模の大きいおもちゃ見本市が、ドイツのニュルンベルグという町で開かれます。

2019年は1月30日から2月3日までの5日間。今回で70回目だそうです。

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ニュルンベルクのクリスマスマーケットは人気観光地

木製玩具について言うと、今はいろいろな国のおもちゃメーカーが出展していますが、もともとはドイツの木製玩具メーカーが自分たちの商品の買い手を見つけるために始まった見本市です。

 

昔からドイツには木のおもちゃを作る「木製玩具メーカー」がたくさんありました。

さまざまな理由がありますが、まず豊かな森林があるということ、その木材を使った建築や家具つくりなどの木工技術が発達していたこと、マイスター制度にみられるように技術者を大切にする制度と文化があったことなどがあげられます。

そして、西はポルトガル、東はロシア、北は北欧、南はイタリアやギリシャといったヨーロッパ地域の中心にドイツは位置しているため、交易に有利でヨーロッパじゅうに販売することができました。

なので「産業としての木製玩具つくり」が育ちました。

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ドイツは木製商品の宝庫

 

私が初めてこのおもちゃショーに行ったのが30年前。

出展者の多さ、展示されているおもちゃの多彩さにびっくりの1週間でした(当時は7日間開催されていました)。

何年も通ううちに、多種多様なおもちゃにいくつかの共通点があることに気づきました。

 

1つは、ヨーロッパの教育思想が影響を与えていること

フレーベルの恩物、モンテッソーリの教具、シュタイナーの思想などです。

おもちゃのデザイナーは工業デザインや美術を学んだ人が多いですが、おもちゃを作るには上述の教育思想もひととおり学んでいるようです。また、心理学、発達学の知識も必要という人が多くいました。

自分の作るおもちゃは子どもに何を与えることができるのか?
いろいろなおもちゃに共通していたのは、デザイナーたちのこの思いでした。

 

ある大きなおもちゃメーカーの人と話をしている時、「説明書」が話題になりました。

ドイツの木製玩具には、遊び方の説明書はついていませんでした

日本だと、私の体験では、詳しい遊び方の説明を求められます。

 

詳しい説明書を付けたらもっと売れるんじゃない?

と提案したところ、

 

そんなものは要らない。使う人が自分で考える。

ドイツでそんなものを求められたことはない

もしそんなものをつけたら、『このように遊びなさい』と遊び方を強制することになりかねない。自由な発想がなくなる

と反論されました。

 

もう20年以上前の話ですから今は状況が違っているかもしれませんが、「おもちゃ遊び」についての消費者の態度の違いを感じた出来事でした。

 

今回はおもちゃつくりで最も歴史があり規模の大きいドイツを例にしました。

成長についての願い、デザイナーの思い、作り手の巧みな技術。

それらが込められたおもちゃで子どもが「楽しい遊び」を体験し、その体験が子どもの育ちを支えていきます。

 

これからもおもちゃとの良い出会いがありますように。

 

宮野 亮(みやの あきら)

一般社団法人 子どもと育ち総合研究所 代表理事 所長

”1960年福岡県生まれ。北九州市立大学文学部(中退)の後、大阪府立大学総合科学部人間関係コース(心理学・社会学専攻)卒業。高校時代より野外活動リーダーをつとめ、辻井正の主宰する「おもちゃライブラリー」において障がい児療育活動とおもちゃによる保育活動をはじめる。2004年オランダCitoにてピラミッドメソッド国際普及会議に参加。2011年、子どもと育ち総合研究所所長に就任。神戸こども総合専門学院非常勤講師。”

【子どもと育ち総合研究所の情報】
web: http://www.play-dev.jp
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